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プロットの縦軸に相異なる2つのスケールを用いるべきでない理由 (2021-05-12)

線グラフや棒グラフといった図(プロット)で、異なる単位の2つのデータを表現したい場合、縦軸の左右2つにそれぞれ異なるスケールを割り当てることがあります。例えば、以下の雨温図は、月ごとに降水量と平均気温という異なる2種類のデータをコンパクトに表した図です:

Climograph of Calcutta

このような図を作成するため、Excelのような表計算アプリケーションには図の縦軸に別のスケールを割り当てる機能があります。Pythonで図を作成する定番ライブラリmatplotlibにも同様の機能があります

しかし意外なことに、Rで図を作成するための定番ライブラリggplot2には、そのような機能が見当たりません。実際、第2軸に別のスケールを割り当てる機能を求めるユーザの質問に対し、ggplot2の開発者はそのような機能を加えるつもりがないと答えています。その理由として、縦軸に複数の異なるスケールを同時に用いることによる弊害があるためとしています。つまり、恣意的なスケールが用いられることで、一緒に表されているデータが比較しにくくなったり、読み取りにくく誤解されやすくなる恐れがあるためです。

例えば、以下のような図を見てみます。

丸紅株式会社 2020年度 第3四半期決算 IR資料「03 純利益と年間配当金」(5ページ)

(丸紅株式会社 2020年度 第3四半期決算 IR資料「03 純利益と年間配当金」(5ページ)より引用。)

上の図において次の2点が誤解につながります。

このような2つの異なるスケールからなる縦軸を用いた図をdual axis plotと呼ぶようですが、その弊害を避けるための対策が次のblog記事で紹介されています: Why not to use two axes, and what to use instead


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