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「数学ゴールデン」(第1巻)に登場した問題の解答 (2021-02-21)

数学ゴールデンは、主人公の高校生が数学オリンピックの日本代表になることを目指すというストーリーの漫画です。

第1巻では、実際の数学の問題が3つほど述べられています。ラムゼーの定理が関わる最初の1つは既に作中で解説されているので、ここでは残りの2つについて解答を明らかにします。

\(2^a + 3^b + 1 = 6^c\)を満たす
自然数\((a,b,c)\)の組をすべて求めよ
(79ページより)

解答: \((a,b,c) = (1,1,1), (3,3,2), (5,1,2)\)の3つ。

解説: \(c=1\)または\(c=2\)のときに、問題の等式を満たす組が上の3つだけであることは簡単に確かめられる。他に解となる\((a,b,c)\)が存在しないことは、以下の補題から分かる。

補題: 自然数\(c \geq 3\)について、\(2^a + 3^b + 1 = 6^c\)となる自然数の対\((a, b)\)は存在しない。

証明: 背理法を用いる。そのような\((a, b)\)が存在すると仮定する。\(f(a, b) := 2^a + 3^b + 1\)と定義すると、\(c \geq 3\)であることから\(8 \mid 6^c\)("\(6^c\)は8で割り切れる")。仮定から\(8 \mid f(a, b)\)。このとき\[2^a \bmod 8 = \begin{cases}2 & \text{if } a = 1,\\4 & \text{if } a = 2,\\0 & \text{otherwise.}\end{cases}\]かつ\[3^b \bmod 8 = \begin{cases}3 & \text{if } b \text{ is odd,}\\1 & \text{if } b \text{ is even.}\end{cases}\]であることから、\(a = 2\)かつ\(b:\) oddでなければならない。一方、\(3 \mid 6^c\)なので\(3 \mid f(a, b)\)であるが、\(f(a, b) \bmod 3 = (2^2 + 3^b + 1) \bmod 3 = 2\)であることに矛盾する。したがって補題が示された。

次の等式を満たす正の実数\(x\)を求めよ。
\[x + \sqrt{x(x+1)} + \sqrt{x(x+2)} + \sqrt{(x+1)(x+2)} = 2\]
(182ページより)

解答: \(x = \frac{1}{24}\)。

解説: \(f(x) := \left(\sqrt{x+1} + \sqrt{x}\right)\left(\sqrt{x+2} + \sqrt{x}\right)\)が問題の等式の左辺と恒等であることに注意する。\(f(x)\)と\(\sqrt{x+1} - \sqrt{x}\)、あるいは\(\sqrt{x+2} - \sqrt{x}\)との積を取ると、以下のようになる:\begin{equation}\left( \sqrt{x+1} - \sqrt{x} \right)f(x) = (x+1 - x)\left(\sqrt{x+2} + \sqrt{x}\right) = \sqrt{x+2} + \sqrt{x}\label{eq:a}\end{equation}および\begin{equation}\left(\sqrt{x+2} - \sqrt{x} \right)f(x) = (x+2 - x)\left(\sqrt{x+1} + \sqrt{x}\right) = 2 \left(\sqrt{x+1} + \sqrt{x}\right)\label{eq:b}\end{equation}\(f(x)=2\)なので、\eqref{eq:a}から\[2\left(\sqrt{x+1} - \sqrt{x}\right) = \sqrt{x+2} + \sqrt{x}\]移項して整理すると、\begin{equation}2\sqrt{x+1} - \sqrt{x+2} = 3\sqrt{x}\label{eq:c}\end{equation}同様に\eqref{eq:b}から\[2\left(\sqrt{x+2} - \sqrt{x}\right) = 2\left(\sqrt{x+1} + \sqrt{x}\right)\]移項して整理すると、\begin{equation}\sqrt{x+2} - \sqrt{x+1} = 2\sqrt{x}\label{eq:d}\end{equation}\eqref{eq:c}と\eqref{eq:d}の両辺をそれぞれ足すと、次の等式が得られる。\[\sqrt{x+1} = 5\sqrt{x}\]両辺を二乗すると1次方程式\(x+1=25x\)になるので、あとはこれを解けばよい。最後に、f(x)は\(x \gt 0\)で狭義単調増加であることから、解はこれだけである。


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