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好き嫌い投票による順位付けと確率 (2018-11-04)

YouTubeなどの動画配信サイトには、各動画について閲覧者が「好き(like)」、または「嫌い(dislike)」を投票する機能がある。この機能でlikeの数とdislikeの数を集計して得られるとして、動画を好ましい順に並べるにはどのようにすれば良いだろうか?

ただし、それぞれの投票は平等に扱うとするが、各動画ごとに投票総数(つまり、likeとdislikeを合わせた数)がまちまちであっても適用できる順位付けにしたい。具体的には、2引数(1つ目の引数がlikeの数、2つ目の引数がdislikeの数)の実数値をとる関数\(r: \mathbb{N}^2 \rightarrow \mathbb{R}\)で、以下のような条件を満たすものを考案する問題と考えることができる:

任意の\(p, p_i, q, q_i \in \mathbb{N}\)について、

つまり、この関数の値が大きいほど好ましさの順位が高いというものである。\(\mathbb{N}\)は0から始まるものとする。

上の条件を満たすような\(r\)の一例として\[r(p, q) =\begin{cases} p & \text{if } q = 0,\\ -q & \text{if } p = 0,\\ \frac{p-q}{p+q} & \text{otherwise.}\end{cases}\]がある。

特に\(p > q > 0\)のとき、Bertrand's ballot theoremから、この\(r(p, q)\)は「最初の投票から直近の投票までのどの時点においてもlikeの数がdislikeの数を上回っていた確率」と同じものである。


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