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ffmpeg の TODO (2007-01-05)

動画や音声のマルチメディアを扱うアプリケーション ffmpeg は昨今活発に開発が進められていますが、そのためにプログラムやライブラリに関するドキュメントが整備されていない傾向があります。

日本語での情報は特に少ないようです。Web 上では、例えばMobileHackerz Knowledgebase Wiki などのページにプログラムの usage に関する情報がありますが、リリース版の ffmpeg に関する公式サイトの文書の翻訳が中心となっています。

それに対し、開発版に関する情報は(他の多くのオープンソースのアプリケーションと同じく)ソースやメーリングリストから得るのが一番効率的でしょう。ただ、SVN リリースのうち doc/ ディレクトリにあるドキュメントは必ずしも現状を反映しているとはいえません; 特に

doc/ffmpeg-doc.texi
廃れたオプション(-mblmin, -mblmax など)に関する記述が残っている。
ffplay-doc.texi
簡単な骨子のみ。
hooks.texi
drawtext, watermark 等のフックに関する記述がない。(それぞれ drawtext.c, watermark.c に説明がある。)

などの不備が挙げられます。

一方、doc/ の中で面白いのは doc/TODO です。開発者ごとのいわゆる to do をリストにしていますが、プロジェクトの founder の Fabrice Bellard 氏の短期的な目標に

- clean up (incompatible change, for 0.5.0):
    * AVStream -> AVComponent
    * AVFormatContext -> AVInputStream/AVOutputStream
    * suppress rate_emu from AVCodecContext

とあり、ライブラリ libavcodec や libavformat の API に互換でない変更を加えることを示唆しています。また、現在のプロジェクトリーダーの Michael Niedermayer氏は簡単に3行

- optimize H264 CABAC
- more optimizations
- simper rate control

としていますが、どうも typo が含まれています。流量の多い開発メーリングリスト ffmpeg-devel で矢継ぎ早に議論や指示を行う頼りになるリーダーですが、筆の勢いでこういったことが恒例になっています。人間味を感じます。


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